エンジニアがフリーランスになることを考える時には、とかく自分のスキルや将来の展望を重視しがちです。ですが、見落としがちなポイントとして、会社員とフリーランスの保険の違いがあります。
最も重要なポイントは、会社員は手厚く守られているのに対し、フリーランスは自己責任になることが多いという点です。まず会社員は、健康保険の費用を会社が半額負担してくれており、そもそもの費用負担が軽くなっています。また、年金に関しても国民年金よりも老後の受給額が多い厚生年金に加入することになりますし、万が一の労働災害や失業の際も補償が下りる労働保険にも加入しています。そもそも会社員は労働基準法によって最低限の労働環境を保証されているため、これらの手厚い保険に加えて、違法な働き方を相談できる場所もあるのです。しかし、フリーランスにこれらの保険は当てはまりません。
フリーランスが加入する健康保険は、全額自己負担の国民健康保険であり、会社員が病気やけがで働けなくなった際に受けられる、傷病手当金の制度も存在しません。また、加入する年金も国民年金であり、そのままでは老後に受け取れる受給額は厚生年金より少なくなります。何より、フリーランスには労働環境や労働時間の悪化、労働災害のリスクから自分を守ってくれる労働保険のようなものは一切ありません。契約を打ち切られたり、仕事が原因でケガや病気を負ってしまったりしたとしても、それらはすべて自己責任になってしまうのです。フリーランスは上手くいけば年収アップも期待できますが、大きなリスクも存在することを、独立を目指すエンジニアはよく理解しておきましょう。